2 地方財政の概況

地方公共団体の会計は、一般会計と特別会計に区分して経理されているが、特別会計の中には、一般行政活動に係るものと企業活動に係るものがある。

このため、地方財政では、これらの会計を一定の基準によって、一般行政部門と水道、交通、病院等の企業活動部門に分け、前者を「普通会計」、後者を「公営事業会計」として区分している。

なお、普通会計決算については、平成23年度から、通常収支分(全体の決算額(*)から東日本大震災分を除いたもの)と東日本大震災分(東日本大震災に係る復旧・復興事業及び全国防災事業に係るもの)とを区分して整理している。

(1)決算規模

令和2年度の地方公共団体(47都道府県、1,718市町村、23特別区(*)、1,165一部事務組合(*)及び114広域連合(*)(以下一部事務組合及び広域連合を「一部事務組合等」という。))の普通会計の純計決算額は、第1表のとおり、歳入130兆472億円(前年度103兆2,459億円)、歳出125兆4,588億円(同99兆7,022億円)となっており、前年度と比べると、新型コロナウイルス感染症対策に係る事業の増加等により、歳入、歳出ともに大幅に増加し、過去最高額となっている。

歳入については、地方税等が減少したものの、国庫支出金(*)、貸付金元利収入の増加等により、前年度と比べると26.0%増となっている。歳出については、公債費(*)が減少したものの、補助費等(*)、貸付金の増加等により、前年度と比べると25.8%増となっている。

また、決算規模の推移は第6図のとおりであり、近年増加傾向にあるが、令和2年度は、前年度と比べると大幅に増加している。

決算規模の状況を団体区分別にみると、第2表のとおりである。都道府県の歳入及び歳出、市町村の歳入及び歳出は、いずれも前年度と比べると大幅に増加している。

(2)決算収支

ア 実質収支

実質収支(*)(形式収支(*)から明許繰越等のために翌年度に繰り越すべき財源を控除した額)の状況は、第3表のとおりである。

令和2年度の実質収支は2兆7,274億円の黒字であり、昭和31年度以降黒字となっている。

団体区分別にみると、都道府県においては1兆285億円の黒字であり、平成12年度以降黒字となっている。また、市町村においては1兆6,989億円の黒字であり、昭和31年度以降黒字となっている。

実質収支が赤字である団体は、市町村で1団体となっている。

なお、近年の実質収支及び赤字団体の赤字額の推移は、第7図のとおりである。標準財政規模(*)に対する実質収支額の割合である実質収支比率(*)(加重平均により、合計及び市町村分は特別区及び一部事務組合等を除く。)の推移は、第8図のとおりである。

イ 単年度収支及び実質単年度収支

単年度収支(*)(実質収支から前年度の実質収支を差し引いた額)及び実質単年度収支(*)(単年度収支に財政調整基金(*)への積立額及び地方債の繰上償還額を加え、財政調整基金の取崩し額を差し引いた額)の状況は、第4表のとおりであり、令和2年度の単年度収支は5,680億円の黒字、実質単年度収支は2,485億円の黒字となっている。

なお、実質収支、単年度収支及び実質単年度収支の赤字団体数の状況は、第5表のとおりである。

(3)歳入

歳入純計決算額は130兆472億円で、前年度と比べると26.0%増となっている。このうち、通常収支分は128兆1,883億円で、前年度と比べると26.8%増となっており、東日本大震災分は1兆8,589億円で、前年度と比べると12.4%減となっている。

歳入純計決算額の主な内訳をみると、第6表のとおりである。

地方税は、法人関係二税の減少等により、前年度と比べると0.9%減となっている。

地方譲与税(*)は、法人関係の地方譲与税の減少等により、前年度と比べると14.6%減となっている。

地方特例交付金(*)は、幼児教育・保育の無償化に伴う子ども・子育て支援臨時交付金の廃止等により、前年度と比べると51.8%減となっている。

地方交付税(*)は、前年度と比べると1.5%増となっている。

その結果、一般財源(*)は、前年度と比べると1.2%減となっている。なお、一般財源に臨時財政対策債(*)を加えた額は1.4%減となっている。

国庫支出金は、特別定額給付金給付事業費補助金、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金等の新型コロナウイルス感染症対策に係る国庫支出金の増加等により、前年度と比べると136.5%増となっている。

地方債は、臨時財政対策債が減少したものの、減収補填債(*)の増加等により、前年度と比べると12.8%増となっている。

その他は、新型コロナウイルス感染症対策に係る制度融資の増加等による貸付金元利収入の増加等により、前年度と比べると29.3%増となっている。

歳入純計決算額の構成比の推移は、第9図のとおりである。

地方税の構成比は、税源移譲等によって平成19年度までは上昇し、その後、景気の悪化や地方法人特別税の創設等に伴って低下していた。平成24年度以降は再び上昇の傾向にあったが、令和2年度においては、法人関係二税の減少や国庫支出金の増加等により、前年度と比べると大きく低下している。

地方交付税の構成比は、平成13年度以降、財源不足額に関して交付税特別会計における借入金による方式に代えて、臨時財政対策債を発行し、基準財政需要額(*)の一部を振り替えることとしたことや、三位一体の改革に伴う地方交付税の改革等により、平成21年度までは低下した。その後、地方財政対策における地方交付税総額の増加等により上昇したが、平成24年度以降は、地方税収の増加等により低下の傾向にある。

国庫支出金の構成比は、平成15年度以降、三位一体の改革による国庫補助負担金の一般財源化、普通建設事業費支出金の減少等によって低下していたが、平成20年度以降、国の経済対策の実施、東日本大震災への対応の影響等により上昇の傾向にあった。近年は15%前後で推移していたが、令和2年度においては、特別定額給付金給付事業費補助金等の新型コロナウイルス感染症対策に係る国庫支出金の増加等により、前年度と比べると上昇している。

地方債の構成比は、臨時財政対策債の増加等により、平成22年度まで上昇の傾向にあったが、近年は臨時財政対策債の減少等により10%台で推移し、令和2年度においては、国庫支出金の増加等により、前年度と比べると低下している。

一般財源の構成比は、平成18年度まで上昇した後、平成21年度には大きく低下した。平成26年度以降は上昇の傾向にあったが、令和2年度においては、地方税の減少や国庫支出金の増加等により、前年度と比べると大きく低下している。なお、一般財源に臨時財政対策債を加えた額の構成比も、前年度と比べると大きく低下している。

歳入決算額の構成比を団体区分別にみると、第10図のとおりである。

(4)歳出

歳出の分類方法としては、行政目的に着目した「目的別分類」と経費の経済的な性質に着目した「性質別分類」が用いられるが、これらの分類による歳出の概要は、次のとおりである。

ア 目的別歳出

(ア)目的別歳出

地方公共団体の経費は、その行政目的によって、議会費、総務費、民生費、衛生費、労働費、農林水産業費、商工費、土木費、消防費、警察費、教育費、災害復旧費、公債費等に大別することができる。歳出純計決算額は125兆4,588億円で、前年度と比べると25.8%増となっている。このうち、通常収支分は123兆9,385億円で、前年度と比べると26.6%増となっており、東日本大震災分は1兆5,203億円で、前年度と比べると15.8%減となっている。

歳出純計決算額の主な目的別内訳をみると、第7表のとおりであり、民生費、総務費、教育費、土木費の順となっている。

総務費は、特別定額給付金事業等の新型コロナウイルス感染症対策に係る事業の増加等により、前年度と比べると133.0%増となっている。

商工費は、制度融資等の新型コロナウイルス感染症対策に係る事業の増加等により、前年度と比べると141.2%増となっている。

衛生費は、医療提供体制の確保等の新型コロナウイルス感染症対策に係る事業の増加等により、前年度と比べると43.5%増となっている。

民生費は、生活福祉資金の貸付事業、ひとり親世帯臨時特別給付金給付事業等の新型コロナウイルス感染症対策に係る事業の増加等により、前年度と比べると8.1%増となっている。

教育費は、児童生徒向けの1人1台端末の整備等のGIGAスクール構想の推進に伴う事業の増加等により、前年度と比べると3.3%増となっている。

目的別歳出純計決算額の構成比の推移は、第8表のとおりである。民生費の構成比は、社会保障関係費の増加を背景に平成19年度以降最も大きな割合を占めている。また、公債費の構成比は低下の傾向にある。

目的別歳出決算額の構成比を団体区分別にみると、第11図のとおりである。

都道府県においては、政令指定都市を除く市町村立義務教育諸学校教職員の人件費を負担していること等により、教育費が最も大きな割合を占め、以下、民生費、商工費、公債費、土木費の順となっている。

また、市町村においては、児童福祉、生活保護に関する事務(町村については、福祉事務所を設置している町村に限る。)等の社会福祉事務の比重が高いこと等により、民生費が最も大きな割合を占め、以下、総務費、教育費の順となっている。

(イ)一般財源の充当状況

一般財源の目的別歳出に対する充当状況は、第9表のとおりである。

目的別歳出純計決算額(第7表その1参照)と比べると、民生費、教育費、公債費等は一般財源充当額の構成比が大きく、総務費等は一般財源充当額の構成比が小さくなっている。

一般財源充当額の目的別構成比の推移は、第12図のとおりである。近年、民生費充当分が上昇の傾向にあったが、令和2年度は低下している。近年、公債費充当分及び土木費充当分は低下の傾向にある。商工費充当分は、令和2年度は上昇している。

イ 性質別歳出

(ア)性質別歳出

地方公共団体の経費は、その経済的な性質によって、義務的経費(*)、投資的経費(*)及びその他の経費に大別することができる。

歳出純計決算額の主な性質別内訳をみると、第10表のとおりである。

義務的経費は、会計年度任用職員制度の施行に伴う人件費の増加、ひとり親世帯臨時特別給付金給付事業等の新型コロナウイルス感染症対策に係る事業や幼児教育・保育の無償化に伴う扶助費(*)の増加等により、前年度と比べると2.0%増となっている。

投資的経費は、補助事業費の増加等による普通建設事業費の増加等により、前年度と比べると2.7%増となっている。

また、その他の経費は、特別定額給付金事業等の新型コロナウイルス感染症対策に係る事業の増加等による補助費等の増加、新型コロナウイルス感染症対策に係る制度融資の増加等による貸付金の増加等により、前年度と比べると72.1%増となっている。

次に、性質別歳出純計決算額の構成比の推移は、第13図のとおりである。

義務的経費の構成比は、平成19年度には52.1%まで上昇し、近年は50%前後で推移していたが、令和2年度においては、補助費等や貸付金の増加等によりその他の経費の構成比が上昇したことにより、前年度と比べると大きく低下している。内訳をみると、人件費は平成20年度以降、公債費は平成18年度以降低下の傾向にある。扶助費は社会保障関係費の増加等により上昇の傾向にあったが、令和2年度においては前年度と比べると低下している。

投資的経費の構成比は、平成23年度までは低下の傾向にあったが、平成24年度に上昇に転じ、近年は15〜16%台で推移していたが、令和2年度においては、補助費等や貸付金の増加等によりその他の経費の構成比が上昇したことにより、前年度と比べると低下している。

その他の経費の構成比は、補助費等の増加等により、平成23年度までは上昇の傾向にあった。平成24年度以降は低下の傾向にあったが、令和2年度においては、補助費等や貸付金の増加等により、前年度と比べると大きく上昇している。

性質別歳出決算額の構成比を団体区分別にみると、第14図のとおりである。

人件費の構成比は、都道府県において、政令指定都市を除く市町村立義務教育諸学校教職員の人件費を負担していること等から、都道府県が市町村を上回っている。また、扶助費の構成比は、市町村において、児童手当の支給、生活保護に関する事務(町村については、福祉事務所を設置している町村に限る。)等の社会福祉関係事務が行われていること等から、市町村が都道府県を上回っている。

普通建設事業費のうち、補助事業費の構成比は、都道府県が市町村を上回る一方、単独事業費の構成比は、市町村が都道府県を上回っている。

(イ)一般財源の充当状況

一般財源の性質別歳出に対する充当状況は、第11表のとおりである。

性質別歳出純計決算額(第10表その1参照)と比べると、義務的経費は一般財源充当額の構成比が大きくなっており、投資的経費は一般財源充当額の構成比が小さくなっている。

一般財源充当額の性質別構成比の推移は、第15図のとおりである。

義務的経費充当分は、近年、扶助費充当分が上昇の傾向にあるものの、人件費充当分及び公債費充当分が低下の傾向にあり、平成19年度以降、全体として低下の傾向にある。

投資的経費充当分は、近年、低下の傾向にある。

その他の経費充当分は、近年、補助費等充当分の上昇等により、全体として上昇の傾向にある。

(5)財政構造の弾力性

ア 経常収支比率

地方公共団体が社会経済や行政需要の変化に適切に対応していくためには、財政構造の弾力性が確保されなければならない。財政構造の弾力性の度合いを判断する指標の一つが、経常収支比率(*)である。

経常収支比率は、経常経費充当一般財源(人件費、扶助費、公債費等のように毎年度経常的に支出される経費に充当された一般財源)の、経常一般財源(一般財源総額のうち地方税、普通交付税等のように毎年度経常的に収入される一般財源)、減収補填債特例分、猶予特例債及び臨時財政対策債の合計額に対する割合である。

令和2年度の経常収支比率(加重平均により、市町村分は特別区及び一部事務組合等を除く。)は、分子である経常経費充当一般財源が、社会保障関係費に係る補助費等が増加したこと等により、0.5%増となったこと、分母である経常一般財源等が、各種交付金や減収補填債特例分等が増加した一方で、地方税が減少したこと等により、0.1%の増にとどまったことから、前年度と比べると0.4ポイント上昇の93.8%となっている。

経常収支比率の推移は第12表のとおりであり、また分子及び分母の推移は第16図のとおりである。分子である経常経費充当一般財源については、補助費等の増加等により、増加の傾向にある。分母である経常一般財源等については、平成24年度以降地方税の増加等により、増加の傾向にある。

経常収支比率の段階別分布状況をみると、第13表のとおりである。経常収支比率が80%以上の団体数は、都道府県においては47団体、市町村においては全体の93.8%を占める1,612団体となっており、大きな割合を占めている。また、経常収支比率が100%以上の団体は、都道府県においては2団体、市町村においては全体の1.8%を占める31団体となっている。

イ 実質公債費比率及び公債費負担比率

地方債の元利償還金等の公債費は、義務的経費の中でも特に弾力性に乏しい経費であることから、財政構造の弾力性をみる場合、その動向には常に留意する必要がある。その公債費に係る負担の度合いを判断するための指標が、実質公債費比率(*)及び公債費負担比率(*)である。

実質公債費比率は、当該地方公共団体の標準財政規模(普通交付税の算定において基準財政需要額に算入された公債費等を除く。)に対する、一般会計等(*)が負担する元利償還金及び公営企業債の償還に対する繰出金などの元利償還金に準ずるもの(充当された特定財源及び普通交付税の算定において基準財政需要額に算入された公債費等を除く。)の割合である。

令和2年度の実質公債費比率(一部事務組合等を除く加重平均)は、元利償還金の減少等により、前年度と比べると0.2ポイント低下の7.8%となっており、初めて算定された平成17年度以降低下傾向にある。

公債費負担比率は、公債費充当一般財源の一般財源総額に対する割合である。

令和2年度の公債費負担比率(加重平均)は、元利償還金の減少等により前年度と比べると0.9ポイント低下の15.7%となっており、平成25年度以降低下傾向にある。

実質公債費比率及び公債費負担比率の推移は、第17図のとおりである。

(6)将来の財政負担

地方公共団体の財政状況をみるには、単年度の収支状況のみならず、地方債、債務負担行為(*)等のように将来の財政負担となるものや、財政調整基金等の積立金のように年度間の財源調整を図り将来における弾力的な財政運営に資するために財源を留保するものの状況についても、併せて把握する必要がある。これらの状況は、次のとおりである。

ア 地方債現在高

令和2年度末における地方債現在高は144兆5,697億円で、減収補填債の発行額の増加等により、前年度末と比べると1兆1,268億円増(0.8%増)となっている。また、臨時財政対策債を除いた地方債現在高は90兆9,541億円で、前年度末と比べると1兆4,774億円増(1.7%増)となっている。

なお、地方財政状況調査においては、満期一括償還地方債の元金償還に充てるための減債基金(*)への積立額は歳出の公債費に計上するとともに、地方債現在高から当該積立額相当分を控除する扱いとしているが、控除しない場合における地方債現在高は156兆7,388億円となっている。

地方債現在高の歳入総額に対する割合及び一般財源総額に対する割合の推移は、それぞれ第18図のとおりである。

地方債現在高は、昭和50年度末では歳入総額の0.44倍、一般財源総額の0.88倍であったが、地方税収等の落込みへの対応や減税に伴う減収の補填のため、また、経済対策に伴う公共投資の追加等により、地方債が急増したことに伴い、それぞれの割合は平成4年度末以降急増し、さらに、13年度からの臨時財政対策債の発行等により、高い水準で推移している。令和2年度末では歳入総額の1.11倍、一般財源総額の2.40倍となっている。

近年の地方債現在高の目的別構成比及び借入先別構成比の推移は、第19図のとおりである。臨時財政対策債が上昇の傾向にある一方で、一般単独事業債が低下の傾向にある。また、近年の市場における地方債資金の調達の推進及び公的資金の縮減等に伴い、市場公募債や市中銀行資金が上昇の傾向にある一方で、財政融資資金が低下の傾向にある。

地方債現在高を団体区分別にみると、都道府県においては87兆6,794億円、市町村においては56兆8,903億円で、前年度末と比べると、それぞれ6,839億円増(0.8%増)、4,429億円増(0.8%増)となっている。また、臨時財政対策債を除いた地方債現在高を団体区分別にみると、都道府県においては54兆7,212億円、市町村においては36兆2,329億円で、前年度末と比べると、それぞれ8,618億円増(1.6%増)、6,156億円増(1.7%増)となっている。

イ 債務負担行為額

地方公共団体は、将来の支出を約束するために、債務負担行為を行うことができる。

この債務負担行為に基づく翌年度以降の支出予定額の状況は、第14表のとおりである。

ウ 積立金現在高

地方公共団体の積立金現在高の状況は、第15表のとおりであり、令和2年度末における積立金現在高は22兆5,981億円で、前年度末と比べると1.5%減となっている。

その内訳をみると、年度間の財源調整を行うために積み立てられている財政調整基金は、前年度末と比べると3.4%減、地方債の将来の償還費に充てるために積み立てられている減債基金(満期一括償還地方債に係るものを除く。)は3.4%減、将来の特定の財政需要に備えて積み立てられているその他特定目的基金(*)は、0.0%減となっている。

エ 地方債及び債務負担行為による実質的な将来の財政負担

地方債現在高に債務負担行為に基づく翌年度以降の支出予定額を加え、積立金現在高を差し引いた地方公共団体の地方債及び債務負担行為による実質的な将来の財政負担の推移は、第20図のとおりである。近年、地方債現在高は減少の傾向、債務負担行為額は増加の傾向、積立金現在高は減少の傾向にあり、地方債及び債務負担行為による実質的な将来の財政負担は概ね横ばいの傾向にあった。一方、令和2年度末においては、地方債現在高、債務負担行為額がともに増加し、積立金現在高は減少したことにより、地方債及び債務負担行為による実質的な将来の財政負担は139兆3,811億円で、前年度末と比べると1.7%増となっている。

団体区分別にみると、都道府県においては86兆2,064億円、市町村においては53兆1,747億円で、前年度末と比べると、いずれも1.7%増となっている。

オ 普通会計が負担すべき借入金残高

普通会計が将来にわたって負担すべき借入金という観点からは、地方債現在高のほか、交付税特別会計借入金や、公営企業(*)において償還する企業債のうち、経費負担区分の原則等に基づき、普通会計がその償還財源を負担するものについても併せて考慮する必要がある。

この観点から、地方債現在高に交付税特別会計借入金残高と企業債現在高のうち普通会計が負担することとなるものを加えた普通会計が負担すべき借入金残高の推移をみると、第21図のとおりであり、近年は減少傾向にあるものの、未だに190兆円を超える高い水準にある。

なお、令和2年度末における普通会計が負担すべき借入金残高は192兆3,263億円で、地方債現在高の増加により、前年度末と比べると748億円増(0.0%増)となっている。

(7)決算の背景

ア 国の予算

「令和2年度予算編成の基本方針」(令和元年12月5日閣議決定)及び「令和2年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」(同月18日閣議了解)に基づいて、同月20日、令和2年度一般会計歳入歳出概算が閣議決定された。

令和2年度予算は、以下のような基本的な考え方により編成された。

(ア)令和2年度予算の基本的な考え方

a アベノミクスの推進により、デフレではない状況を作り出す中で、我が国経済は、長期にわたる回復を持続させており、GDPは名目・実質ともに過去最大規模に達した。また、雇用・所得環境も改善し、2000年代半ばと比べて景況感の地域間のばらつきも小さくなっているなど、地方における経済は厳しいながらも、好循環の前向きな動きが生まれ始めている。

b 経済の先行きについては、緩やかな回復が続くことが期待されるものの、消費税率引上げ後の経済動向を注視するとともに、台風等の被害からの復旧・復興の取組を更に加速し、あわせて米中貿易摩擦など海外発の下方リスクによる悪影響に備える必要がある。

c 我が国財政は、国・地方の債務残高がGDPの2倍程度に膨らみ、なおも更なる累増が見込まれ、また、国債費が毎年度の一般会計歳出総額の2割以上を占めるなど、引き続き、厳しい状況にある。

d 政府は、「経済再生なくして財政健全化なし」の基本方針の下、デフレ脱却・経済再生と財政健全化に一体的に取り組み、2020年頃の名目GDP600兆円経済と2025年度の財政健全化目標の達成を目指す。

e 地球環境と両立した持続的かつ包摂的な経済成長の実現と財政健全化の達成に向けて、「経済財政運営と改革の基本方針2019」(令和元年6月21日閣議決定。以下「骨太方針2019」という。)に基づき、以下の視点から取組を推進する。

潜在成長率の引上げによる成長力の強化を目指し、Society 5.0時代に向けた人材・技術などへの投資やイノベーションを企業の現預金も活用して喚起し、生産性の飛躍的向上に取り組む。

また、成長と分配の好循環の拡大に向け、企業収益を拡大しつつ、下請中小企業の取引適正化等を進め、賃上げの流れを継続して消費の拡大を図るとともに、外需の取り込みを進める。

さらに、少子高齢化に真正面から立ち向かい、若者も高齢者も女性も障害や難病のある方も皆が生きがいを持ち活躍できる一億総活躍社会の実現に取り組む。このため、希望出生率1.8、介護離職ゼロ、「人づくり革命」及び「働き方改革」のための対策を推進しつつ、就職氷河期世代の人々の社会への参画機会を拡大していく。全世代型社会保障の構築に向け、社会保障全般にわたる持続可能な改革を進める。

加えて、自然災害からの復興や国土強靱化、観光・農林水産業をはじめとした地方創生、地球温暖化などSDGsへの対応を含むグローバル経済社会との連携など重要課題への取組を行うとともに、昨今の国際情勢を踏まえ、我が国として、外交・安全保障の強化に取り組む。

f 財政健全化に向けては、新経済・財政再生計画に沿って着実に取組を進め、2025年度の国・地方を合わせた基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化を目指す。同時に債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指す。

(イ)令和2年度予算編成についての考え方

a 令和2年度予算編成に向けては、引き続き、デフレ脱却に向け、構造改革はもとより、金融政策に成長指向の財政政策をうまく組み合わせることに留意する必要がある。

財政健全化への着実な取組を進める一方、上記の基本的考え方に沿って、賃上げの流れと消費拡大の好循環、外需の取り込み、設備投資の拡大を含めた需要拡大に向けた取組や、Society 5.0時代に向けた人材・技術などへの投資やイノベーションの促進、次世代型行政サービス等の抜本強化といった生産性の向上に向けた取組など、重要な政策課題への対応に必要な予算措置を講じるなど、メリハリの効いた予算編成を目指す。

あわせて、「15か月予算」の考え方で、災害からの復旧・復興と安全・安心の確保、経済の下振れリスクを乗り越えようとする者への重点支援、未来への投資と東京オリンピック・パラリンピック後も見据えた経済活力の維持・向上を柱とし策定された「安心と成長の未来を拓く総合経済対策」(令和元年12月5日閣議決定)に基づき、令和元年度補正予算を新たに編成するとともに、予備費を含めた令和元年度予算、令和2年度の臨時・特別の措置を適切に組み合わせることにより、機動的かつ万全の対策とする。こうした取組により、当面の需要喚起にとどまらず、民需主導の持続的な経済成長の実現につなげていく。

b 東日本大震災、熊本地震をはじめ、各地の災害からの復興や防災対応の強化を現場との連携を密に着実に進める。

令和元年度予備費により台風等の被災者の生活・生業を再建するとともに、令和元年度補正予算により切れ目のない対策を講じ、復旧・復興を加速する。あわせて、3年間集中の防災・減災、国土強靱化の緊急対策を着実に実行するとともに、台風被害を踏まえた課題を検証し、水害対策を中心に防災・減災、国土強靱化を更に強力に進め、インフラ老朽化対応を含め、国民の安全・安心を確保する。

c 令和2年度予算は、「経済財政運営と改革の基本方針2018」(平成30年6月15日閣議決定。以下「骨太方針2018」という。)及び骨太方針2019に基づき、経済・財政一体改革を着実に推進するとともに、引き続き、2025年度の財政健全化目標の達成を目指し、新経済・財政再生計画で定める目安に沿った予算編成を行う。改革工程表を十分に踏まえて歳出改革を着実に推進するとの基本的考え方に立ち、その取組を的確に予算に反映する。

また、予算編成に当たっては、我が国財政の厳しい状況を踏まえ、引き続き、歳出全般にわたり、聖域なき徹底した見直しを推進する。地方においても、国の取組と基調を合わせ徹底した見直しを進める。

d 次世代型行政サービスの実現に向けて、国が主導して国及び地方自治体等の情報システムやデータの標準化を推進する等デジタル・ガバメントの早期実現を図るとともに、2020年3月までに行政手続コストを2割以上削減し、行政手続の簡素化・効率化を推進する。また、各府省は行政事業レビューを徹底的に実施するとともにEBPM(Evidence−based Policymaking)を推進し、予算の質の向上と効果検証に取り組む。

e 新経済・財政再生計画の改革工程表を改定し、継続して取り組むべき歳出改革等を盛り込むほか、骨太方針2019に盛り込まれた主要分野ごとの重要課題への対応について改革工程を具体化する。また、見える化、先進・優良事例の全国展開、インセンティブ改革、公的サービスの産業化などの広く国民各層の意識改革や行動変容に働きかける取組を引き続き加速・拡大する。さらに、政策効果の高い歳出に転換するワイズスペンディングの仕組みを強化し、民需主導の持続的な経済成長の実現につながる施策を喚起する。

このような方針に基づいて編成された令和2年度一般会計歳入歳出概算の規模は102兆6,580億円で、前年度当初予算と比べると1兆2,009億円増(1.2%増)となった。

また、東日本大震災復興特別会計の予算規模は2兆739億円で、前年度当初予算と比べると608億円減(2.8%減)となった。

財政投融資計画の規模は13兆2,195億円で、前年度計画額と比べると1,001億円増(0.8%増)となった。

なお、令和2年度当初予算案は、令和2年1月20日に第201回通常国会に提出され、同年3月27日に成立した。

イ 地方財政計画

令和2年度においては、通常収支分について、極めて厳しい地方財政の現状等を踏まえ、歳出面においては、人づくり革命の実現や地方創生の推進、地域社会の維持・再生、防災・減災対策等に対応するために必要な経費を計上するとともに、社会保障関係費の増加を適切に反映した計上を行う一方、国の取組と基調を合わせた歳出改革を行うこととした。また、歳入面においては、骨太方針2018で示された「新経済・財政再生計画」を踏まえ、交付団体をはじめ地方の安定的な財政運営に必要となる地方の一般財源総額について、令和元年度地方財政計画(*)の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保することを基本として、引き続き生ずることとなった大幅な財源不足について、地方財政の運営上支障が生じないよう適切な補填措置を講じることとした。

また、東日本大震災分については、復旧・復興事業及び全国防災事業について、通常収支とはそれぞれ別枠で整理し、所要の事業費及び財源を確保することとした。

なお、地方財政審議会からは、令和元年6月10日に「時代を越えて多様な地域を支えるための地方税財政改革についての意見」及び同年12月13日に「今後目指すべき地方財政の姿と令和2年度の地方財政への対応についての意見」が提出された。

以上を踏まえ、次の方針に基づき令和2年度の地方財政計画を策定した。

(ア)通常収支分

a 地方税制については、令和2年度地方税制改正では、所有者不明土地等に係る固定資産税の課税上の課題に対応するため、所有者情報の円滑な把握や課税の公平性の確保の観点から、税制上の措置を講じることとしている。また、個人住民税における未婚のひとり親に対する所得控除の適用及び寡婦(寡夫)控除の見直し並びに電気供給業に係る法人事業税の課税方式の見直しなどの税制上の措置を講じることとしている。

b 財源不足見込額については、地方財政の運営に支障が生じることのないよう、次の措置を講じることとし、所要の法律改正を行う。

(a)地方交付税法第6条の3第2項に基づく制度改正として、令和2年度から令和4年度までの間は、令和元年度までと同様、財源不足が建設地方債(財源対策債)の増発等によってもなお残る場合には、この残余を国と地方が折半して補填することとし、国負担分については、国の一般会計からの加算により、地方負担分については、地方財政法第5条の特例となる地方債(臨時財政対策債)により補填措置を講じる。臨時財政対策債の元利償還金相当額については、その全額を後年度地方交付税の基準財政需要額に算入する。

(b)令和2年度の財源不足見込額4兆5,285億円については、上記の考え方に基づき、従前と同様の例により、次の補填措置を講じる。その結果、国と地方が折半して補填すべき額は生じないこととなる。

<1> 建設地方債(財源対策債)を7,700億円増発する。

<2> 地方交付税については、国の一般会計加算により5,187億円(地方交付税法附則第4条の2第1項の加算額154億円及び同条第3項の加算額2,533億円並びに平成22年12月22日付け総務・財務両大臣覚書第3項(2)及び平成28年12月19日付け総務・財務両大臣覚書第8項に定める令和2年度における「乖離是正分加算額」2,500億円)増額する。

また、交付税特別会計剰余金1,000億円を活用する。

<3> 地方財政法第5条の特例となる地方債(臨時財政対策債)を3兆1,398億円発行する。

(c)交付税特別会計借入金の償還については、特別会計に関する法律附則第4条第1項に基づき、5,000億円の償還を実施する。

(d)上記の結果、令和2年度の地方交付税については、16兆5,882億円(前年度比4,073億円増、2.5%増)を確保する。

c 地方債については、引き続き厳しい地方財政の状況の下で、地方財源の不足に対処するための措置を講じ、また、地方団体が防災・減災対策、公共施設等の適正管理及び地域の活性化への取組等を着実に推進できるよう、所要の地方債資金を確保する。

この結果、地方債計画(*)(通常収支分)の規模は、11兆7,336億円(普通会計分9兆2,783億円、公営企業会計(*)等分2兆4,553億円)とする。

d 人づくり革命の実現、地方創生の推進、地域社会の維持・再生、防災・減災対策の推進、住民に身近な社会資本の整備、総合的な地域福祉施策の充実、農山漁村地域の活性化等を図ることとし、財源の重点的配分を行う。

(a)地方法人課税の偏在是正措置により生じる財源を活用して、地方団体が地域社会の維持・再生に向けた幅広い施策に自主的・主体的に取り組むため、一般行政経費(*)に新たに「地域社会再生事業費」を4,200億円計上する。

(b)「まち・ひと・しごと創生事業費」については、引き続き1兆円(前年度同額)計上する。

(c)地方団体が地方単独事業として実施する河川等の浚渫を推進するため、維持補修費に新たに「緊急浚渫推進事業費」を900億円計上する。

(d)災害防止・国土保全機能強化等の観点から、森林整備を一層促進するため、地方公共団体金融機構の公庫債権金利変動準備金を活用し、交付税特別会計における譲与税財源の借入れを行わないこととした上で、森林環境譲与税の譲与額を前倒しで増額する。

(e)投資的経費に係る地方単独事業費については、防災・減災対策を推進するため、「緊急防災・減災事業費」及び「緊急自然災害防止対策事業費」について対象事業を拡充した上で、それぞれ5,000億円(前年度同額)、3,000億円(前年度同額)を計上することとしており、全体で前年度に比し0.1%増額し、引き続き、地域の自立や活性化につながる基盤整備を重点的・効率的に推進する。

(f)「人づくり革命」として、幼児教育・保育の無償化、待機児童の解消、高等教育の無償化、介護人材の処遇改善に係る措置を講じることとしており、当該措置に係る地方負担について所要の財政措置を講じる。

(g)社会保障・税一体改革による「社会保障の充実」として、子ども・子育て支援、医療・介護サービスの提供体制改革、医療・介護保険制度改革等に係る措置を講じることとしており、当該措置に係る地方負担について所要の財政措置を講じる。

(h)一般行政経費に係る地方単独事業費については、社会保障関係費の増加や会計年度任用職員制度の施行に伴う経費の増加等を適切に反映した計上を行うことにより、財源の重点的配分を図るとともに、地域において必要な行政課題に対して適切に対処する。

(i)消防力の充実、防災・減災対策等の推進及び治安維持対策等住民生活の安心安全を確保するための施策に対し所要の財政措置を講じる。

(j)過疎地域の自立促進のための施策等に対し所要の財政措置を講じる。

e 公営企業の経営基盤の強化を図るとともに、水道、下水道、交通、病院等住民生活に密接に関連した社会資本の整備の推進、公立病院における医療の提供体制の整備をはじめとする社会経済情勢の変化に対応した事業の展開等を図るため、経費負担区分等に基づき、一般会計から公営企業会計に対し所要の繰出しを行うこととする。

f 地方行財政運営の合理化を図ることとし、適正な定員管理、事務事業の見直しや民間委託など引き続き行財政運営全般にわたる改革を推進する。

(イ)東日本大震災分

a 復旧・復興事業

(a)東日本大震災に係る復旧・復興事業等の実施のための特別の財政需要等を考慮して交付することとしている震災復興特別交付税(*)については、直轄・補助事業(*)に係る地方負担分等を措置するため、3,742億円を確保する。また、一般財源充当分として86億円を計上する。

(b)地方債については、復旧・復興事業を円滑に推進できるよう、所要額についてその全額を公的資金で確保する。

この結果、地方債計画(東日本大震災分)における復旧・復興事業の規模は、24億円(普通会計分15億円、公営企業会計等分9億円)とする。

(c)直轄事業負担金及び補助事業費、地方自治法に基づく職員の派遣、投資単独事業等の地方単独事業費並びに地方税法等に基づく特例措置分等の地方税等の減収分見合い歳出等について所要の事業費8,984億円を計上する。

b 全国防災事業

全国防災事業については、地方税の臨時的な税制上の措置(平成25年度〜令和5年度)による地方税の収入見込額として756億円を計上するとともに、一般財源充当分として335億円を計上する。

以上のような方針に基づいて策定した令和2年度の地方財政計画は、第16表のとおりとなっており、その規模は、通常収支分は90兆7,397億円で、前年度と比べると1兆1,467億円増(1.3%増)となり、東日本大震災分は、復旧・復興事業が8,984億円で、前年度と比べると2,003億円減(18.2%減)、全国防災事業が1,092億円で、前年度と比べると34億円増(3.2%増)となった。

また、令和2年度の地方債計画の規模は、通常収支分が11兆7,336億円(普通会計分9兆2,783億円、公営企業会計等分2兆4,553億円)で、前年度と比べると2,721億円減(2.3%減)となった。東日本大震災分は、復旧・復興事業が24億円(普通会計分15億円、公営企業会計等分9億円)で、前年度と比べると4億円減(14.3%減)となった。

ウ 令和2年度補正予算及び一般会計の予備費等の使用

(ア)令和2年度補正予算(第1号)とそれに伴う地方財政措置等

a 令和2年度補正予算(第1号)

令和2年度補正予算(第1号)は、令和2年4月7日に閣議決定の後、同月20日に変更について閣議決定、同月27日に第201回通常国会に提出され、同月30日に成立した。

この補正予算においては、歳出面で、「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」(令和2年4月7日閣議決定・同月20日変更閣議決定。以下「緊急経済対策」という。)を実施するための新型コロナウイルス感染症緊急経済対策関係経費25兆5,655億円等が追加計上された。また、歳入面で、公債金25兆6,914億円(建設公債2兆3,290億円の増額及び特例公債23兆3,624億円の増額)が追加計上された。

この結果、一般会計予算の規模は、歳入歳出とも令和2年度当初予算に対し、25兆6,914億円増加し、128兆3,493億円となった。

b 令和2年度補正予算(第1号)に係る地方財政措置等

緊急経済対策に伴い、地方税における特例措置に伴う減収及びこの補正予算における歳出の追加に伴う地方負担の増加が生じることから、(a)及び(b)のとおり措置を講じるとともに、補正予算において地方公共団体が地域の実情に応じてきめ細やかに必要な事業を実施できるよう(c)に掲げる交付金が創設されることとなった。

(a)地方税における特例措置に伴う減収に対する措置

以下の措置を講じることとし、所要の法律改正を行う。

<1> 地方税の徴収の猶予制度の特例に伴う地方債の発行

地方税の徴収の猶予制度の特例創設に伴う令和2年度の一時的な減収に対応するため、地方財政法第5条の特例債である資金手当のための地方債を発行することができることとする。

<2> 自動車税環境性能割及び軽自動車税環境性能割の臨時的軽減の延長による減収額の補填

自動車税環境性能割及び軽自動車税環境性能割の臨時的軽減の延長による令和2年度以降の減収額については、自動車税減収補填特例交付金(令和2年度の増額分226億円)及び軽自動車税減収補填特例交付金(令和2年度の増額分23億円)により全額国費で補填する。

<3> 固定資産税及び都市計画税の軽減措置等による減収額の補填

固定資産税及び都市計画税の軽減措置並びに固定資産税の特例措置の拡充・延長による令和3年度以降の減収額については、全額国費で補填する。

(b)地方負担の増加に対する措置

この補正予算により令和2年度に追加されることとなる経費に係る地方負担については、(c)に掲げる新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金により措置する。

また、この補正予算により令和2年度に追加されることとなる投資的経費に係る地方負担については、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を充当しない場合には、原則として、その100%まで地方債を充当できることとし、後年度における元利償還金の50%(公立学校情報通信ネットワーク環境施設整備事業については、当初における地方負担額に対する算入率である60%)を公債費方式により基準財政需要額に算入する。

(c)新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の創設

新型コロナウイルスの感染拡大を防止するとともに、感染拡大の影響を受けている地域経済や住民生活を支援し地方創生を図るため、緊急経済対策の全ての事項についての対応として、地方公共団体が地域の実情に応じてきめ細やかに必要な事業を実施できるよう、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を交付することとされる。

また、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の総額は1兆円とされ、各地方公共団体への交付限度額は、人口、新型コロナウイルス感染症の感染状況、国庫補助事業の地方負担額等に応じて算定される。

新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の充当対象は、地方公共団体が策定する実施計画に掲載された事業(ソフト事業を中心とし、それに付随するハード事業も対象とする。)のうち地方単独事業の所要経費と国庫補助事業(法令に国の補助負担割合が定められていないものに限る。)の地方負担額であり、各地方公共団体の申請に基づいて、交付限度額を上限として交付額が決定される。

(イ)令和2年度補正予算(第2号)等とそれに伴う地方財政措置等

a 令和2年度補正予算(第2号)等

令和2年度一般会計の予備費の使用が令和2年4月24日に、令和2年度補正予算(第1号)により創設された令和2年度一般会計新型コロナウイルス感染症対策予備費の使用が同年5月26日に閣議決定された。

各予備費の使用額は、一般会計の予備費において260億円、一般会計新型コロナウイルス感染症対策予備費において1,839億円が計上された。

また、令和2年度補正予算(第2号)は、令和2年5月27日に閣議決定、同年6月8日に第201回通常国会に提出され、同月12日に成立した。

この補正予算においては、歳出面で、新型コロナウイルス感染症対策関係経費31兆8,171億円等が追加計上された。また、歳入面で、公債金31兆9,114億円(建設公債9兆2,990億円及び特例公債22兆6,124億円)が追加計上された。

この結果、一般会計予算の規模は、歳入歳出とも令和2年度補正予算(第1号)による補正後予算に対し、31兆9,114億円増加し、160兆2,607億円となった。

b 令和2年度補正予算(第2号)等に係る地方財政措置

この予備費の使用及び補正予算による歳出の追加に伴い地方負担の増加が生じることから、当該地方負担については、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金により措置することとした。

また、この補正予算により令和2年度に追加されることとなる投資的経費に係る地方負担については、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を充当しない場合には、原則として、その100%まで地方債を充当できることとし、後年度における元利償還金の50%を公債費方式により基準財政需要額に算入することとした。

c 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の増額等

この補正予算においては、新型コロナウイルス感染症への地方における様々な対応・取組を全力で支援するため、地域の実情に応じて、家賃支援を含む事業継続や雇用維持等への対応を後押しするとともに、新しい生活様式を踏まえた地域経済の活性化等への対応を図る観点から、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を2兆円増額することとされた。

このほか、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金について、補正予算(第1号)分も含め全額国費による負担とした上で2兆2,370億円(医療分1兆6,279億円、介護・福祉分6,091億円)増額するとともに、全額国費により、雇用調整助成金の拡充等(4,519億円)、家賃支援給付金の創設(2兆242億円)等に係る事業を計上することとされた。

(ウ)「被災者の生活と生業の再建に向けた対策パッケージ」に基づく予備費の使用とそれに伴う地方財政措置

a 予備費の使用

新型コロナウイルス感染症の影響下で発生した令和2年7月豪雨に対し、被災者の生活と生業の再建に向け、被災地のニーズや地域ごとの特性を踏まえつつ、緊急に対応すべき施策として、令和2年7月豪雨被災者生活・生業再建支援チームにおいて「被災者の生活と生業の再建に向けた対策パッケージ」(令和2年7月30日)が取りまとめられ、予備費等を活用し速やかに対応を進めていくこととされ、令和2年度一般会計の予備費について、令和2年7月31日に1,017億円の使用が閣議決定された。

b 予備費の使用に係る地方財政措置

この予備費の使用においては、歳出の追加に伴う地方負担が生じることから、これに対しては以下のとおり地方財政措置を講じることとした。

(a)災害復旧事業

<1> 直轄・補助事業として実施する災害復旧事業(公営企業が実施するものを除く。)について、地方負担額の100%まで補助災害復旧事業債を充当できることとし、後年度における元利償還金の95%を公債費方式により基準財政需要額に算入する。

<2> 強い農業・担い手づくり総合支援交付金事業(被災産地施設支援対策)、林業・木材産業成長産業化促進対策交付金事業(被災木材加工流通施設等復旧対策)及び浜の活力再生・成長促進交付金事業(被災施設整備対策事業)について、地方負担額の100%まで一般単独災害復旧事業債を充当できることとし、後年度における元利償還金については、地方公共団体の財政力に応じ、その47.5〜85.5%を公債費方式により基準財政需要額に算入する。

<3> 公営企業が実施する災害復旧事業について、地方負担額の100%まで地方公営企業災害復旧事業債を充当できることとし、後年度における元利償還金については、一般会計からの繰出額に応じ、その最大50%までを特別交付税により措置する。

(b)災害関連事業

地方負担額の100%まで補正予算債を充当できることとし、後年度における元利償還金の80%を公債費方式により基準財政需要額に算入する。

(c)災害廃棄物処理事業

災害対策債の発行要件を満たす地方公共団体においては、地方負担額の100%まで地方債を発行できることとし、後年度における元利償還金の95%を公債費方式により基準財政需要額に算入する。また、災害対策債の発行要件を満たさない地方公共団体においては、地方負担額の95%を特別交付税により措置する。

(d)なりわい再建支援事業

地方公共団体が補助する経費の2/3を国が補助する場合、災害対策債の発行要件を満たす地方公共団体においては、地方負担額の100%まで地方債を発行できることとし、後年度における元利償還金の95%を公債費方式により基準財政需要額に算入する。また、災害対策債の発行要件を満たさない地方公共団体においては、地方負担額の95%を特別交付税により措置する。

なお、地方公共団体が事業者負担に対して総事業費の3/4以内で補助する経費の1/2を国が補助する場合、地方負担額の70%を特別交付税により措置する。

(e)強い農業・担い手づくり総合支援交付金事業(被災農業者支援型)

地方公共団体が事業者負担に対して国庫補助額の範囲内で補助する場合、地方負担額の70%を特別交付税により措置する。

(f)災害援護貸付金

資金手当として地方負担額の100%まで一般事業債を充当できることとする。

(g)災害救助費及び災害弔慰金等

地方負担額については、従前と同様、所要の特別交付税措置を講じる。

(エ)令和2年度一般会計新型コロナウイルス感染症対策予備費の使用(令和2年8月7日)

令和2年度一般会計新型コロナウイルス感染症対策予備費について、令和2年8月7日に1兆1,257億円の使用が閣議決定された。

この予備費の使用による歳出の追加のうち都道府県の予算に計上して経費を支出する生活福祉資金貸付制度における緊急小口資金等の特例貸付については、全額国費によることとされ、地方負担は生じなかった。

(オ)令和2年度一般会計新型コロナウイルス感染症対策予備費等の使用とそれに伴う地方財政措置

a 予備費の使用

令和2年度一般会計新型コロナウイルス感染症対策予備費及び令和2年度一般会計の予備費の使用が令和2年9月15日に閣議決定された。

各予備費の使用額は、一般会計新型コロナウイルス感染症対策予備費において1兆6,386億円、一般会計の予備費において315億円が計上された。

b 一般会計新型コロナウイルス感染症対策予備費の使用に係る地方財政措置

この予備費の使用による歳出の追加に伴い地方負担の増加が生じることから、当該地方負担については、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金により措置することとした。

c 一般会計の予備費の使用に係る地方財政措置

この予備費の使用による歳出の追加に伴い地方負担の増加が生じることから、当該地方負担については、以下のとおり地方財政措置を講じることとした。

(a)災害復旧事業

地方負担額の100%まで補助災害復旧事業債を充当できることとし、後年度における元利償還金の95%を公債費方式により基準財政需要額に算入する。

(b)災害関連事業

地方負担額の100%まで補正予算債を充当できることとし、後年度における元利償還金の80%を公債費方式により基準財政需要額に算入する。

(カ)令和2年度一般会計新型コロナウイルス感染症対策予備費の使用(令和2年12月11日)

令和2年度一般会計新型コロナウイルス感染症対策予備費について、令和2年12月11日に3,856億円の使用が閣議決定された。

この予備費の使用による歳出の追加のうち地方公共団体の予算に計上して経費を支出するひとり親世帯臨時特別給付金給付事業については、全額国費によることとされ、地方負担は生じなかった。

(キ)令和2年度補正予算(第3号)とそれに伴う地方財政措置等

a 令和2年度補正予算(第3号)

令和2年度補正予算(第3号)は、令和2年12月15日に閣議決定、令和3年1月18日に第204回通常国会に提出され、同月28日に成立した。

この補正予算においては、歳出面で、新型コロナウイルス感染症の拡大防止策4兆3,581億円、ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現11兆6,766億円、防災・減災、国土強靱化の推進など安全・安心の確保3兆1,414億円等が計上されたほか、既定経費の減額4兆1,963億円等の修正減少額が計上された。また、歳入面で、税収が8兆3,880億円減額計上された一方、税外収入7,297億円、公債金22兆3,950億円(建設公債3兆8,580億円及び特例公債18兆5,370億円)等が追加計上された。

この結果、一般会計予算の規模は、歳入歳出とも令和2年度補正予算(第2号)による補正後予算に対し、15兆4,271億円増加し、175兆6,878億円となった。

b 令和2年度補正予算(第3号)に係る地方財政措置

この補正予算においては、国税の減額補正に伴い地方交付税が減額されるとともに、歳出の追加に伴う地方負担の増加が生じること等から、以下のとおり措置を講じることとした。

(a)地方交付税

この補正予算においては、令和2年度の国税の減収に伴い地方交付税が2兆6,339億円の減額となったところであるが、これについては、令和2年度当初における地方財政対策に準じ、以下のとおり措置することとし、この結果、令和2年度当初予算の地方交付税の総額を確保する。

<1> 地方交付税の減2兆6,339億円については、全額を国の一般会計からの加算により措置する。

<2> <1>の加算のうち国負担分8,651億円については、臨時財政対策特例加算とすることとし、地方負担分1兆7,688億円については、臨時財政対策債を発行することに代えて措置するものであることを踏まえ、後年度精算する。

また、令和2年度当初に行うこととしていた交付税特別会計借入金の償還については、当該償還予定額から国の一般会計からの加算により償還財源を確保した分を控除した額(2,500億円)の償還を繰り延べるとともに、当該額を令和3年度当初の地方交付税の総額に加算することができることとする。

以上の措置を講じるため、「地方交付税法等の一部を改正する法律案」を第204回通常国会に提出し、令和3年1月28日に成立した(令和3年法律第3号)。

(b)追加の財政需要

この補正予算においては、歳出の追加に伴う地方負担が生じることから、これに対しては以下のとおり地方財政措置を講じる。

<1> 新型コロナウイルス感染症の拡大防止策に係る事業

この補正予算による歳出の追加のうち、新型コロナウイルス感染症の拡大防止策として実施する事業に係る地方負担については、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金により措置する。また、投資的経費に係る地方負担については、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を充当しない場合には、原則として、その100%まで地方債を充当できることとし、後年度における元利償還金の50%を公債費方式により基準財政需要額に算入する。

<2> ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現に係る事業

この補正予算による歳出の追加のうち、ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現として実施する事業に係る地方負担については、投資的経費を除き、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金により措置する。

また、投資的経費に係る地方負担については、原則として、その100%まで地方債を充当できることとし、後年度における元利償還金の50%を公債費方式により基準財政需要額に算入する。

<3> 上記<1><2>以外の事業

この補正予算による歳出の追加のうち、上記<1><2>以外の事業に係る地方負担については、以下のとおり措置する。

I 投資的経費に係る地方負担については、原則として、その100%まで地方債を充当できることとし、以下に掲げるものを除き、後年度における元利償還金の50%を公債費方式により基準財政需要額に算入する。

(I)災害復旧事業債

i 補助災害復旧事業債

補助災害復旧事業債の後年度における元利償還金については、その95%を公債費方式により基準財政需要額に算入する。

ii 災害対策債

(i)なりわい再建支援事業(地方公共団体が補助する経費の2/3を国が補助する場合)及び令和2年7月豪雨による災害の災害廃棄物処理事業に係る災害対策債の後年度における元利償還金については、その95%を公債費方式により基準財政需要額に算入する。

なお、災害対策債の発行要件を満たさない地方公共団体については、地方負担額の95%を特別交付税により措置する。

(ii)上記(i)以外の事業

災害廃棄物処理事業については、地方負担額の80%を特別交付税により措置した上で、残余について、災害対策債の発行要件を満たす地方公共団体においては、災害対策債の後年度における元利償還金の57%を特別交付税により措置する。

iii 一般単独災害復旧事業債

一般単独災害復旧事業債の後年度における元利償還金については、地方公共団体の財政力に応じ、その47.5%〜85.5%を公債費方式により基準財政需要額に算入する。

(II)令和2年7月豪雨への対応に伴う投資的経費(災害復旧事業を除く。)に係る補正予算債

令和2年7月豪雨への対応に伴う投資的経費(災害復旧事業を除く。)に係る補正予算債の後年度における元利償還金については、その80%を公債費方式により基準財政需要額に算入する。

(III)公営企業債

当初における一般会計からの繰出額の一部に対する算定と同様の方式により措置する。

II 地方債の対象とならない経費については、地方財政計画に計上された追加財政需要額(4,200億円)の一部により対応する。

c 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の増額等

この補正予算においては、新型コロナウイルス感染拡大を防止するとともに、デジタル化をはじめとするポストコロナに向けた経済構造の転換と地域における民需主導の好循環を実現し、地方創生を図るため、地方公共団体が地域の実情に応じてきめ細やかに必要な事業を実施できるよう、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を1.5兆円(うち地方単独分1.0兆円、即時対応分0.2兆円)増額することとされた。

このほか、全額国費により、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金の増額(1兆3,011億円(医療分1兆1,763億円、介護・福祉分1,248億円))、生活福祉資金貸付制度における緊急小口資金等の特例貸付の増額(4,199億円)及び新型コロナウイルスワクチンの接種体制の整備・接種の実施(5,736億円)等に係る事業を計上することとされた。

d 地方税等の減収に対する措置

令和2年度の地方税等については、新型コロナウイルス感染症の影響により、地方消費税(地方消費税交付金を含む。)、不動産取得税、道府県たばこ税、ゴルフ場利用税(ゴルフ場利用税交付金を含む。)、軽油引取税(軽油引取税交付金を含む。)、市町村たばこ税(市町村たばこ税都道府県交付金を含む。)、地方揮発油譲与税及び航空機燃料譲与税について景気変動による通常の増減収を超えた大幅な減収が生じる見込みであり、これらの地方税等の減収に対し、減収補填債を発行可能とするよう、地方交付税法等の一部を改正する法律の中で、地方財政法第5条の特例を設けた。

なお、当該減収補填債の後年度における元利償還金については、その75%(地方消費税引上げ分、地方消費税交付金引上げ分、地方揮発油譲与税及び航空機燃料譲与税については100%)を公債費方式により基準財政需要額に算入することとした。

また、減収補填債の資金については、市町村(指定都市を除く。)に対して原則としてその全額に公的資金を配分することとした。さらに、減収補填債の対象とならない地方税等や使用料・手数料の減収及び減免額について、建設事業費への充当可能額の範囲内で資金手当のための地方債を発行可能とするよう、令和2年度地方債同意等基準を改正することとした。

(ク)令和2年度一般会計新型コロナウイルス感染症対策予備費の使用(令和2年12月25日)

令和2年度一般会計新型コロナウイルス感染症対策予備費について、令和2年12月25日に4,862億円の使用が閣議決定された。

この予備費の使用においては、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金(協力要請推進枠)を2,169億円増額することとされた。

(ケ)令和2年度一般会計新型コロナウイルス感染症対策予備費の使用(令和3年1月15日)

令和2年度一般会計新型コロナウイルス感染症対策予備費について、令和3年1月15日に7,418億円の使用が閣議決定された。

この予備費の使用においては、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金(協力要請推進枠)を7,418億円増額することとされた。

(コ)令和2年度一般会計新型コロナウイルス感染症対策予備費の使用(令和3年2月9日)

令和2年度一般会計新型コロナウイルス感染症対策予備費について、令和3年2月9日に1兆1,372億円の使用が閣議決定された。

この予備費の使用においては、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金(協力要請推進枠及び即時対応特定経費分)を8,802億円増額することとされた。

(サ)令和2年度一般会計の予備費の使用とそれに伴う地方財政措置

令和3年福島県沖を震源とする地震に対し、東日本大震災の被災地である地域のニーズや特性を踏まえつつ、被災者の生活と生業の再建に向け、緊急に対応すべき施策を取りまとめ、速やかに対応を進めていくこととされ、令和2年度一般会計の予備費について、令和3年2月26日に31億円の使用が閣議決定された。

この予備費の使用により追加される中小企業等グループ施設等復旧整備補助事業(なりわい再建支援事業)については、地方負担額の95%を特別交付税により措置することとした。

(シ)令和2年度一般会計新型コロナウイルス感染症対策予備費の使用とそれに伴う地方財政措置等

令和2年度一般会計新型コロナウイルス感染症対策予備費について、令和3年3月23日に2兆1,692億円の使用が閣議決定された。

この予備費においては、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金(協力要請推進枠及び即時対応特定経費分)を1兆5,403億円増額することとされた。

このほか、全額国費により、子育て世帯生活支援特別給付金の給付(2,175億円)、生活福祉資金貸付制度における緊急小口資金等の特例貸付の増額(3,410億円)等に係る事業を計上することとされた。

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