(1)株式会社フォーチュン(以下「フォーチュン」という。)が消費者向けに提供するMVNOサービスである「マイモバイル」(以下「本件サービス」という。)に関して、総務省等に多数の苦情相談が寄せられています。その中には、自らを大手の電気通信事業者又はその販売代理店であるかのように名乗る等の行為により、利用者をこれらの者からの勧誘を受けていると誤認させた状態で勧誘を行っていたと考えられる事案などの不適切な事案が多く含まれています。
(2)上記の苦情相談を踏まえ、フォーチュンが本件サービスの提供に関する契約の締結の媒介、取次ぎ又は代理の業務又はこれに付随する業務を委託した媒介等業務受託者(販売代理店)である「プライム」、「クローバー」を屋号として名乗る個人事業主が行った電話勧誘について、フォーチュンに録音の提出を求めたところ、
別紙
のとおり、不適切な勧誘が認められました。
※プライム及びクローバーにおいては既に電気通信役務の提供に関する契約の締結の媒介、取次ぎ又は代理の業務又はこれに付随する業務を取りやめているとの報告がありました。
(3)また、フォーチュンの法令遵守体制等を確認するために、フォーチュンに報告を求めたところ、
・プライム及びクローバーに対して、本件サービスの提供に関する契約の締結の媒介等の業務及びこれに付随する業務を委託していたにもかかわらず、プライム及びクローバーが電気通信事業法(以下「法」という。)第73条の2第1項(媒介等業務の届出)に規定する媒介等業務の届出を行ったことを確認し、この規定を遵守させるための措置を講じていなかった事実
・プライム及びクローバーにおいて、電話により本件サービスに関する提供条件の説明を行った後に電気通信事業法施行規則(昭和60年郵政省令第25号。以下「規則」という。)第22条の2の3第3項に規定する説明書面の交付を行っていなかった事実
が認められました。
(4)これらの事実は、フォーチュンがフォーチュンの販売代理店に対して委託した業務が適切かつ確実に遂行されるための措置を講じていなかったことをうかがわせるものであり、フォーチュンにおいて法第27条の4(媒介等業務受託者に対する指導等の措置)の規定への違反が認められました。
(5)さらに、フォーチュンは、本件サービスの利用者が法第26条の3第1項(書面による解除)に規定する書面による解除(初期契約解除)を行った際に、本件サービスに対して利用者が支払うべき金額その他の本件サービスの契約に関して利用者が支払うべき金額として規則第22条の2の9に規定する額より過大な金額を法第26条の2第1項(書面の交付)で規定する契約書面に記載し、実際に令和元年9月9日から令和2年10月1日まで168件の利用者に15,000円を、令和2年10月2日から同年11月7日まで6件の利用者に10,000円を請求していた事実が判明しました。ここから、法第27条の2第1号(不実告知等の禁止)の規定への違反が認められました。
(6)加えて、前述の契約書面において、規則第22条の2の4第2項第2号に規定する「書面解除に伴い利用者が支払うべき金額の算定の方法」を記載していなかったことが認められました。このことから法第26条の2第1項(書面の交付)の規定への違反が認められました。
(7)これらの状況から、総務省はフォーチュンに対して法の遵守を徹底するとともに利用者から過大に徴収した金額を返金することなどについて指導しました。