総務省トップ > 政策 > 白書 > 令和5年版 > データセンター、海底ケーブルの機能及び安全対策の強化
第1部 特集 新時代に求められる強靱・健全なデータ流通社会の実現に向けて
第2節 豊かなデータ流通社会の実現に向けて

(3) データセンター、海底ケーブルの機能及び安全対策の強化

データセンターはデータを蓄積、処理する機能を果たしており、データ通信を含む様々なインターネットサービスの基盤となっている。また、我が国は、国際通信の約99%を海底ケーブルに依存しており、国境を越えたデータ流通量が増加する中、海底ケーブルの重要性は一層高まっている。さらに、米中間の緊張の高まり、ウクライナ侵攻など国際情勢が複雑化する中にあって、経済安全保障の観点からも、データセンターや海底ケーブルの安全対策強化の重要性が高まっている。

我が国では、現在、データセンターの約6割が首都圏に集中している9。また、国内海底ケーブルは、主に太平洋側に敷設され、日本海側が未整備(ミッシングリンク)となっており、海底ケーブルの陸揚げ拠点は、房総半島や志摩半島に集中している。このように、データセンターや海底ケーブルの陸揚局が特定地域に集中している状況においては、大規模災害が首都圏で発生した場合、全国規模で通信環境に多大な影響が生じる可能性がある。実際に、東日本大震災では、KDDI社の太平洋側の茨城県沖や千葉の銚子沖などで海底ケーブル10か所、10か国以上につながる回線において障害が発生、完全復旧までには半年を要し、大きな被害が伴った10。また、2022年1月には、トンガ沖の海底火山の噴火により海底ケーブルの切断が発生し、通信の復旧までには5週間を要した11

データセンターや海底ケーブルの重要性を踏まえ、我が国では、現在、これらの立地の分散化が進められている。総務省では、2023年4月に公表した「デジタル田園都市国家インフラ整備計画(改訂版)」の中で、データセンターについては、経済産業省と連携して、10数か所の地方拠点を5年程度で整備する一方、東京圏・大阪圏における拠点化が進んでいる現状を踏まえ、当面は東京・大阪を補完・代替する第3・第4の中核拠点の整備を促進することとしている。また、「デジタルインフラ(DC等)整備に関する有識者会合」の議論等を踏まえ、インターネットトラヒックの状況に合わせたインフラ整備の動向、グリーン化に向けた取組、MEC(Multi-access Edge Computing)やAIとの連携等を注視しつつ、経済産業省等関係省庁と連携してデータセンター等の更なる分散立地の在り方や拠点整備等に必要な支援の検討を進めることとしている。海底ケーブルについては、2026年度中に日本海側の海底ケーブルの運用を開始するとともに、陸揚局の分散立地を促進し、データセンターの拠点整備に向けた取組と連動して国際海底ケーブルの多ルート化や陸揚局に向けた分岐支線の敷設等、我が国の国際的なデータ流通のハブとしての機能強化に向けた取組を促進するとともに、国際海底ケーブルや陸揚局の安全対策を強化することとしている(図表3-2-1-3)。

具体的な施策として、総務省では令和3年度補正予算デジタルインフラ整備基金(特定電気通信施設等整備推進基金)を財源とし、デジタルインフラ整備を行う民間事業者への助成を行っており、2022年6月に7件の地方におけるデータセンター事業が採択されている

図表3-2-1-3 データセンター及び海底ケーブルの整備イメージ


9 データセンターが首都圏に集中している背景には、データの最大需要地である東京から近い位置にデータセンターを建設することで、通信の遅延時間が短くなり、サービスの質の向上につながるうえ、運用・保守の観点でも、メンテナンス要員がアクセスしやすい立地が望ましいなどといった理由があり、事業者側としても首都圏という立地は大きなメリットをもたらしてきた。

10 地震で海底の地盤がずれ、ケーブルに過剰な負荷がかかったことで断線してしまったとみられている。

11 https://www.technologyreview.jp/s/266975/tongas-volcano-blast-cut-it-off-from-the-world-heres-what-it-will-take-to-get-it-reconnected/別ウィンドウで開きます

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